不確かさ自動計算機
2022/11/26 (2023/06/07 最終更新)
自動計算機へのリンク
PCでもタブレットでもスマートフォンでも動作するようにしました。
計算原理や詳細な使い方は、以下をご覧ください。
原理:「不確かさ」とは
いわゆる「誤差」のことです。例えば、12.0 ± 0.7 cm は、± 0.7 cm の不確かさがあること、すなわち 11.3 cm 以上 12.7 cm 以下であることを示します。 専門的で詳細な説明は Wikipedia などをご覧ください。
また、相対不確かさは、不確かさをそれ自身の値で割ったものです。例えば、2.0 ± 0.1 の相対不確かさは 0.1 ÷ 2.0 = 0.05 で、 3.0 ± 0.3 の相対不確かさは 0.3 ÷ 3.0 = 0.1 です。
不確かさの計算にあたっては、いくつかの考え方があると言われていますが、この計算機プログラムで使用した考え方(原理)を分かりやすく説明すると、以下の通りです。
- たし算・ひき算(和・差) の不確かさは、それぞれの不確かさの和に等しいです。例えば、(2.0 ± 0.1) + (3.0 ± 0.3) の不確かさは 0.2 + 0.3 = 0.4 です。よって、 (2.0 ± 0.1) + (3.0 ± 0.3) = 5.0 ± 0.4 と表記されます。
- かけ算・わり算(積・商) の相対不確かさは、それぞれの相対不確かさの和に等しいです。例えば、(2.0 ± 0.1) × (3.0 ± 0.3) の相対不確かさは 0.05 + 0.1 = 0.15 です。よって、不確かさは (2.0 × 3.0) × 0.15 = 0.9 なので (2.0 ± 0.1) × (3.0 ± 0.3) = 6.0 ± 0.9 と表記されます。
理科大の創域理工学部所属の方であれば、物理学実験の教科書に関連する事柄の記載が見られると思います。(2021年度版であれば p.37-41)
計算機システムの使い方
計算機システムは、htmlとjavascriptで作成してgithub上で公開することで、誰でも容易にアクセスできるようになっています。
注意点は以下の通りです。
- 不確かさ(相対不確かさ)を入力するには、計算機にアクセスして「オプション設定 (任意)」から「不確かさ(相対不確かさ)の入力欄を有効にする」にチェックを入れてください
- システムがフリーズしたときは、一度システムを終了させ、再度アクセスしてください。
- 数学定数・物理定数 代入機能 の「STEP2」は、現在機能していません。ご了承ください。
詳細な説明書はこちら(PDF)をご覧ください。
その他
計算機システムの特長や機能について
- 一般的なSI接頭辞に対応しています。k (キロ)、M (メガ)、G (ギガ)、m (ミリ)、u又はμ (マイクロ)、n (ナノ)、p (ピコ) など。
- 「×10ⁿ」 の形で入力や出力ができるので、大きな桁の計算も可能です。
- 数学定数や物理定数を容易に代入できます。
オプションの二乗和平方根について
測定値のバラつきが正規分布に従うとき(実験で測定値を数多く取った場合など)は、(和・差 編 における) 不確かさの計算で二乗和平方根を用いると、不確かさを小さく見積もることができます。
これは、例えば「(正規分布を考えると) 2.0 ± 0.1 cm の部品が 1.9 cm や 2.1 cm である確率は低く、3.0 ± 0.3 cm の部品が 2.7 cm や 3.3 cm である確率も低い。よって、これら2つの部品を組み合わせて 4.6 cm (1.9 + 2.7) や 5.4 cm (2.1 + 3.3) となる確率は低い中の低いだろう。よって、不確かさをもう少し小さく見積もっても良さそうだ」という考え方に基づきます。(超ざっくりとした説明です)
ただし、二乗和平方根を用いた計算では、本当の値から外れる確率は「低い中の低い」であっても、ゼロではありません。そのため、正確性を重視する場合には、二乗和平方根を用いない方が良いと考えます。
ちなみに、僕が実験レポートを書くときには、二乗和平方根を使っていません。面倒くさいからという理由もありますが。
上記を踏まえた上で、二乗和平方根を用いた不確かさが知りたいと思う場合には、オプションの「(和・差 編 のみ) 各変数が独立と仮定し、二乗和平方根を計算する」にチェックを入れてから、計算実行してください。
参考文献
- 累積公差の計算(二乗和平方根)(田口技術士事務所) https://seihin-sekkei.com/calculation-tool/root-mean-square/
- 公差解析 基本中の基本(2) ワーストケースと二乗和平方根って、何?(4/4 ページ)(MONOist) https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/1003/25/news100_4.html